活版印刷をご検討のお客様からよくいただくご質問のひとつに「紙のサイズ」があります。
A判やB判のJIS規格サイズは馴染み深いため感覚的に分かっても、封筒のサイズやコミックの単行本でよく使われる、四六判などの寸法をミリ換算でご存知の方は少ないでしょう。
ちなみにCAPPAN STUDIOで活版で印刷できる最大の用紙サイズは394ⅹ545㎜、最小サイズは40ⅹ70㎜です。
日本でよく使われる紙のサイズ
日常で馴染み深い紙のサイズといえばB5やA4で、B5は学生のノート等のサイズ、A4はプリンター用紙の標準的なサイズとして広く使われています。
A判もB判も日本工業規格(JIS)で定められているもので、A判はドイツの規格に倣ったもので、今では国際規格となっている規格です。
ではB版はなにかというと、日本で広く使われていた四六判や菊判という独自規格を突然廃止すると混乱が生じるため、馴染みのあった四六判とA判との相関性をもとに考案された、日本独自規格の紙サイズです。
A判とB判は紙をロスなく使うために戦時中に採用され、戦前からあった四六判や菊判などの規格は一時使用禁止になりました。しかし戦後また許可されるようになり、あらためてJIS規格として定めされ、今も印刷物や出版物などに使われています。
A判
もとはドイツで生まれ、今では国際標準規格ISOで定められる用紙サイズがA判です。
紙の原料をなるべく無駄なく効率的に使えるように開発された寸法で、縦横比が1:√2になるように設計されています。
長辺を半分に切ると‘常に同じ比率になるようになっており、コピー用紙でもお馴染みの「A3」は420×297mmで、長辺を半分に折ると「A4」で210×297mmとなり、また長辺を半分に折ると「A5」に、といったように小さくなっていきます。
このようにどのサイズも長辺を半分に切るだけでできるため、裁断ロスが出ないようになっています。
A判 | サイズ(mm) | 用途の例 |
A0 | 841 × 1189 | 大型の駅ポスターなど |
A1 | 594 × 841 | 看板や大型ポスターなど |
A2 | 420 × 594 | カレンダーやポスターなど |
A3 | 297 × 420 | ポスターやコピー用紙など |
A4 | 210 × 297 | ビジネス文書や広告物など |
A5 | 148 × 210 | 漫画や小説の単行本など |
A6 | 105 × 148 | 文庫本など |
A7 | 74 × 105 | 胸ポケットサイズのメモ帳など |
A8 | 52 × 74 | メモ用紙や単語帳など |
B判
B判は日本で生まれたサイズ規格で、縦横比はA判と同じく1:√2になっており、裁断ロスがでないように設計されています。
この規格が生まれたのは、昔から書籍によく使われていた、「四六判」に近いサイズにA判では対応できなかったことが理由です。
すでに一般化して流通している書籍サイズを急に変えることもできず、近似する規格を探す中で発明されたのがB判です。
A判と同じ縦横比1:√2のまま面積を150%にすると、四六判に近いサイズ(B6)になることがわかり、これは使いやすいということで、日本独自のサイズ規格として定めました。
B判 | サイズ(mm) | 用途の例 |
B0 | 1030×1456 | 図面、大型の駅ポスターなど |
B1 | 728×1030 | 駅ポスターなど |
B2 | 515×728 | 映画用ポスターなど |
B3 | 364×515 | 中吊り広告や折込広告など |
B4 | 257×364 | 画集などの大型本や賞状用紙など |
B5 | 182×257 | 教科書や大学ノート、週刊誌など |
B6 | 128×182 | 漫画の単行本や手帳など |
B7 | 91×128 | パスポートや手帳、メモ帳など |
B8 | 64×91 | POPやショップカードなど |
四六判・菊判
四六判は明治時代にイギリスから輸入された紙のサイズが元になっています。
戦前から主に単行本に使われてきたため、書籍サイズといわれることもあります。
菊判は明治時代に新聞の用紙として、アメリカから輸入された紙のサイズが元になっており、菊判より一回り大きく売り場で目立つということで、書籍などにも使われるようになりました。
また紙に印刷したり製本する際には、塗り足しや余白が必要なため、裁断寸法より少し大きな紙が必要です。そのため印刷用紙としてB版には四六判が、A判には菊判がよく使われます。
これらは書籍サイズも原紙サイズも呼び方が同じため、打ち合わせなどの際は混同しないよう注意が必要です。
規格 | サイズ(mm) | 用途の例 |
四六版 | 788 × 1091 | 単行本など |
菊判 | 636× 939 | 単行本、雑誌など |
その他の紙の規格サイズ
上で紹介したJIS規格以外にも、日本でよく使われる紙のサイズはたくさんあります。
特に馴染み深いのは名刺や郵政はがき(旧官製葉書)、などでしょう。
規格 | サイズ(mm) | 用途の例 |
葉書 | 100 × 148 | 郵政はがき(旧官製葉書)、フライヤーなど |
名刺(国内) | 55 × 91 | 日本での名刺の一般的なサイズ |
名刺(海外) | 51 × 89 | 主に欧米で使われている一般的な名刺サイズ |
カードサイズ | 54 × 85.6 | クレジットカードや診察券など |
L判 | 89 × 127 | 写真の印画紙の標準サイズ |
2L判 | 127 × 178 | L判の2倍の大きさで、集合写真など |
日本で使われる紙の厚み
日本で使われる紙の厚みはmm(ミリメートル)という単位ではなく、kg(キログラム)で表されています。
これもドイツの規格に倣ったもので、kgは原紙1000枚分の重さを指し、これを「連量」といいます。
原紙とは製紙工場で仕上がる大元の紙のことです。
原紙にもA判B判の元になる「A列本判」「B列本判」や、日本独自の「菊判」「四六判」などの規格があり、元のサイズが違うため同じ100kgでも紙の厚みは同じではありません。
日本の場合、特にサイズについ記載されていなければ、四六判の重さを指すことが多いでしょう。
また原紙の寸法は裁断のための余白を含んだ寸法となっており、例えばA列本判の寸法が625×880mmに対して、A1の寸法は594×841㎜となっているという具合です。
日本で使われる封筒サイズについて
封筒の規格サイズ「長形」「角形」「洋形」と、3種の形状に大別され、一部のサイズはJIS規格として定められています。
そこからさらに日本郵政が定める「定形郵便物」の条件にあてはまる「定型封筒」と、それ以外の「定形外封筒」に分かれています。
これらは用途や郵便料金などによって規格化されているのですが、A判やB判といった紙の規格サイズと名称がリンクしていないため、どれを選んでいいものか混乱するでしょう。
長形封筒
縦書の書類などを封入するのに適しているのが、日本で馴染み深い「長形封筒」です。定形郵便に使えるサイズが多いのが特長で、日本ではA4を3つ折りで入れられる「長形3号」がよく使われます。ちなみに長形3号は定形郵便で送れる最大サイズでもあります。
規格 | サイズ(mm) | 封入物の例 | 郵便区分 |
長形1号 | 142x332 | B4横三つ折り/A4縦ニつ折り | 定形外 |
長形2号 | 119x277 | A4横三つ折り/B5縦ニつ折り | 定形外 |
長形3号 | 120x235 | A4横三つ折り | 定形 |
長形4号 | 90x205 | B5横三つ折り | 定形 |
長形6号 | 110x220 | A4横三つ折り | 定形 |
長形30号 | 92x235 | A5縦二つ折り、B5横三つ折り、A4横四つ折り | 定形 |
長形40号 | 90x225 | B5横三つ折り | 定形 |
角形封筒
角形封筒は、A4やB5などの用紙を折らずに入れることができ、折り目をつけたくない公文書や、カタログやパンフレットなどを入れるのによく使われます。最小サイズの角型8号だけが定形郵便として送ることができ、それ以外は定形外郵便となります。
規格 | サイズ(mm) | 封入物の例 | 郵便区分 |
角形0号 | 287x382 | B4 | 定形外 |
角形1号 | 270x382 | 写真四つ切り | 定形外 |
角形2号 | 240x332 | A4判書籍雑誌 | 定形外 |
角形3号 | 216x277 | B5/B5判書籍雑誌 | 定形外 |
角形4号 | 197x267 | B5 | 定形外 |
角形5号 | 190x240 | A5判書籍雑誌 | 定形外 |
角形6号 | 162x229 | A5、A4二つ折り | 定形外 |
角形7号 | 142x205 | B6、B5二つ折り/文庫本 | 定形外 |
角形8号 | 119x197 | A6、文庫本等 | 定形 |
洋形封筒
洋封筒は横書の文書の封入でよく使われる、横長の封筒です。欧米では一般的な封筒ですが、日本では結婚式やパーティの招待状、ダイレクトメールなどを入れるのによく使われています。縦長の和封筒に比べると、どちらかというとカジュアルな用途が多い封筒です。
規格 | サイズ(mm) | 封入物の例 | 郵便区分 |
洋特1号 | 198x138 | キャビネ判写真 | 定形外 |
洋形1号 | 176x120 | A6、A5横二つ折り | 定形 |
洋形2号 | 162x114 | 葉書サイズ | 定形 |
洋形3号 | 148x98 | B5四つ折り | 定形 |
洋形4号 | 235x105 | A4横二つ折り | 定形 |
洋形5号 | 217x95 | A5縦二つ折り | 定形 |
洋形6号 | 190x98 | B5横三つ折り | 定形 |
洋形7号 | 165x92 | A5横三つ折り | 定形 |
CAPPAN STUDIOはあらゆるサイズの用紙・封筒への印刷に対応
CAPPAN STUDIOは1960(昭和35)年の創業から活版印刷に携わり、先人たちが磨き上げてきた技術や、ものづくりへの情熱、その魂を大切につつ、新しい技術の良さも取り入れて、より良いものづくりを目指してきました。
その中にはもちろん用紙の選定も含まれます。
活版印刷の良さを最大限に引き出し、用途に最適な用紙はどれか、サイズはどうか、封筒はどうか、お客様の想いを実現させるため、心を込めてお手伝いさせていただきます。