唐紙の老舗〔唐長〕×〔京都活版印刷所〕の唐紙活版名刺。雲母刷りから放たれるほのかな輝きの唐紙と活版印刷の独特の凹みが融合した唐紙活版名刺。
寛永元年創業。最も長い歴史をもつ唐紙の老舗「唐長」と
活版印刷が織りなす優美でゆかしき風合い。
唐紙活版名刺~唐長~
名刺は自分の分身。
「名刺を交換する刹那、目を奪われる美しさ」
目指したのはそんな綺麗な名刺。
自分を表す名刺だからこそ特別な紙と印刷で。
唐長の唐紙は、歴史的建造物として
広く知られる桂離宮や二条城の襖に
室内装飾として用いられている
伝統と格式ある唐紙。
その唐紙に施される活版印刷は、
文字の凹凸が作り出す陰影が美しく、
今なお多くの人を魅了する
昔ながらの印刷方法。
唐紙の歴史
唐紙作りはもともと中国より伝来したといわれており、平安時代には雅で美しいさまざまな加工を施した料紙が現れ、その後数百年、唐紙師(からかみし)はその技術をさらに洗練させ、江戸時代に入ると唐紙は一斉に普及し、人々の暮らしを彩るようになりました。しかし、元治元年(1864年)の蛤御門の変でほとんどの唐紙師が板木を焼失します。このとき当時の当主は盥(たらい)に水を張り、目張りをした土蔵に板木を入れて戦乱の火災から唐紙の板木を守りぬいたといいます。現在江戸時代より続いている唐紙屋は日本でただ1軒、唐紙屋長右衛門(唐長)のみで、400年間守り抜かれた板木650枚は唐長十二代目現当主千田誠次によって受け継がれています。
一枚一枚が手仕事ならではの風合い
唐紙は空間を引き立てるためのもので、色はあくまでやさしく控えめです。文様に現れる独特の質感は鉱物を粉状にした、雲母によるもので色の配合や顔料のつける分量、撫でる時間や力加減もすべて体で覚えた過去の経験を応用して、一枚一枚、加減を見ながら仕上げていきます。乾けばほのかに立体感が生まれ、印刷では出せない独特の風合いが生まれ、手の加減、作り手の感性によって、同じ板木でも仕上がりが違うというのも唐紙ならではです。
桂離宮の修復
唐長は二条城、養源院などの歴史的建造物の襖紙や壁紙としても多く使用されていますが、中でも桂離宮は最古の回遊式庭園として知られ、庭園と建物が一体となって、日本的な美を形成している皇室関連施設です。その桂離宮の修復を十代目・唐紙屋長右衛門が1950年と1959年に、十一代目・唐紙屋長右衛門が1979年に修復を手がけています。この桂離宮の修復の際、新たに発見された創建当時の文様を再現すべく、唐長では基本となる型紙の製作から幾度の工程を経て、すべての唐紙を復元しました。再び何年後かの修復に備え、その型紙は唐長十二代目により大切に保存されています。
十二代目当主千田誠次
1970年、唐紙の老舗「唐長」の長男として生まれる。19歳から唐紙づくりに携わり、室内における唐紙のあり方をより深く探求すべく、建築士の資格を取得。精華大学にて講師を務めるなど唐紙の可能性を広げるべく、幅広く活躍する。父である唐長11代目千田堅吉より12代目を継ぎ、伝統的な表現を残しつつも新しい唐紙での表現にも挑戦し続けている。
活版印刷の独特の凹み、
やさしくなじむインキの風合い…
人の手のぬくもりを感じる
印刷を唐長の唐紙に。
目を奪われるほど魅力的な製品を目指して
活版印刷とは活字を組んだ版(活版)を使う印刷のことです。印刷には大きく4種類にわけることができますが、活版印刷は凸版印刷の一つです。凸版印刷は歴史的に最も古いシンプルな印刷方式で、表面に凹凸のある版の凸部分にインキを乗せて紙に転写する技術です。活版印刷もスタンプやハンコをイメージするとわかりやすいです。 活版印刷は紙にインキを乗せる際にかかる圧力により紙の表面に凹みができるます。この独特の凸凹感がアンティーク感、レトロ感、上質感を生み出しています。デジタル化が進む近年では、逆に活版印刷のもつ風合いや質感が見直されて、デザインクオリティにこだわりを持ったクリエイターや、個性的な名刺やショップカードを作成するお店が増えてきており活版印刷が再び注目されています。 そんな活版印刷の究極の紙を求めて唐長にたどりつき、今回実現したのが「唐長の唐紙」を使用した活版印刷の名刺になります。
活版印刷の印刷機について
京都活版印刷所では手キンなど手動活版機による製造を中心に、自動機にはない良さを追求しており、活版印刷の研究のラボとしても機能しております。製造拠点である活版スタジオでは、ハイデルベルグ社プラテンをはじめ、自動活版機による高い印刷クオリティやディテールにこだわっております。今回の唐紙名刺は繊細で高い技術が要求されるますのでハイデルベルグ社プラテンで印刷しております。
印刷所を支えてきた職人の技術
鮮明で美しい印刷に仕上げるのが職人の腕の見せどころですが、活版印刷は表面に凹凸のある版の凸部分にインキを乗せて紙に転写する印刷方式のため、印刷した画線や点のふちにどうしても、にじみのようなフチドリ(マージナルゾーン)ができてしまいます。京都活版印刷所はこのマージナルゾーンを最小限に抑え、細やかな文字や複雑なデザインのものも、美しく仕上げることを追求しています。従来は、紙に凸凹を出さない印刷方法が熟練した活版印刷の技術と言われていましたが、昨今流行のインプレッション(印圧)の強い印刷と、文字などを綺麗に印刷する事は相反しています。その反比例する両者を最大限反映できるよう、京都活版印刷所は今迄培った技術向上させ、新しい商品を生み出し続けています。