現場にある母型箪笥の中に眠る、活字母型。
活版印刷できっても切り離せないのは活字です。
そして活字を鋳造する時に必要な活字母型をご紹介します。
ちなみに・・・
以前、弊社で使用していた、母型・活字・鋳造機は廃棄してしまっています。
同業者さんが廃業される際、引き取らせてもらい展示しています。
こちら関西では、昔の職人さんからは、
字母(じぼ)って言う方が多いと感じます。
周りがそういうだけかも知れませんが・・・。
活字を鋳造するとき、活字地金(鉛、錫、アンチモンを使用した3元合金)を溶かし鋳型に入れ、1本1本活字をつくります。
鋳型の先端にこの母型をセットして活字のフェイス(字面)部分をつくります。
母型は、文字のサイズ数や書体、文字にに合わせて、それぞれ用意しなくてはいけないので、凄い数が必要です。
鋳型も活字サイズに合せてそれぞれ必要です。
この母型の製造方法は、日本では1950年代ぐらいまでは、電胎法と言う電気分解を利用して作る「ガラ母型」とも
呼ばれる母型製造が行われました。
電胎法での製造の後年、ベントン彫刻機が母型量産化のために登場しました。
このベントン彫刻機を使い、直接母型を彫る彫刻母型や、ベントン彫刻機で父型を作り黄銅剤に打ち込んで作る打込式母型などがあります。
ベントン彫刻機は、ひとつの文字原版から色々な文字サイズの母型を、マテ材(母型材)に彫刻できるのが特徴で、精密な機械彫刻法なので母型深度が揃い、その母型を使い鋳造した活字は高低差が揃い印刷ムラが無く、電胎法で作る活字から大きく進歩したと言われています。
このベントン彫刻機は、大阪では株式会社モトヤの活字資料室に飾られています。
機会があればのぞきに行ってみてください。
別のタイミングで弊社にある鋳型や鋳造機をご紹介させてもらいます。
では、もう少し母型の写真を
6P用の母型です。文字は『春』
5号サイズ カタカナ
超アップで・・・。
こんな古めかしい話をしてると、字母や鋳造や活版印刷のことでなく、
私が小さい時、親父が鋳造場でお玉にこの活字地金をいれて、
半球のような形をした文鎮を作ってくれたことを思い出しました。
凄く懐かしいです。
今でも、こうやって活版印刷に関わることが出来ることに感謝いっぱいです。
ありがとうございます。