活字とは
活版印刷に用いられる文字の型を活字といいます。
角柱の頭頂部に文字や記号を左向き(いわゆる鏡文字)に突起させており、この突起部が印刷面となります。
鉛を主成分とした合金を鋳型に流し込んで鋳造されたものが一般的ですが、線画などの精密な表現が得意な亜鉛版、金属活字にない文字を手彫りで作れる木活字など、用途によって様々な素材が使い分けられます。
【活字の大きさ・高さ】
欧米活字の大きさは「point(pt.と略される、本文中では以下ポイントと記載)」という単位で表されます。
1インチの1/72を1pt.としますが、活字におけるポイントは正確に1インチの1/72ではありません。
アメリカ、イギリス、日本などでは「アングロ・アメリカンポイント(1pt. = 0.3514mm)」が採用され、ヨーロッパの多くの国ではフランス発祥の「ディドーポイント(1pt. = 0.3759mm)」が普及して使用されています。
現代のコンピュータ組版では、1インチの正確な1/72が「DTPポイント(1pt. = 0.3528mm)」として使用されています。
活字の高さは、おおよそ1インチより少し低い高さ(0.918インチ、0.923インチ、0.928インチなど)が基準となっていますが、国や地域の基準によって様々な差異が見られます。
印刷時には字面の高さを揃える必要がありますが、同国内でさえも活字の高さはまちまちです。
他の鋳造所との混用ができないようにという販売戦略上の理由から、鋳造所が意図的に差異を設けたとも考えられていますし、またその逆に、鋳造所が発注元が採用している高さに合わせて、自社基準の高さをあえて調節したと思われる活字もあります。
号数について
和文活字では、ポイント制以前に作られた「号数制」という日本独自の規格が使われてきました。
もっとも大きい初号から順番に、一号、二号、三号と番号が増えていくにつれて小さくなっていき、八号までの9種類があります。
従来使われていた号数制は、横並びの大きさでは倍数関係が成立しますが、縦並びの大きさには関連性がありませんでした。
この問題を解消するため、五号の1/8の厚みを基準に割り出した新号数制が1962年にJIS規格として定められました。
この規格に則った活字を「新号数制活字」、それ以前の活字を「旧号数制活字」と呼びます。
新号数制では、初号(≒45pt.)、二号(≒21pt.)、五号(≒10.5pt.)、七号(≒5.25pt.)の大きさは旧号数制と同じで、一号、三号、四号、六号、八号、が小さくなっています。
関東圏では他の地域と比べて新号数制活字の採用が少なく、旧号数制活字が使われ続ける傾向にありました。
後に号数制に加えてポイント制も併用するようになったため、和文活字の大きさを表す環境は複雑なものとなっています。
また、号数以外にも、独自の発展を遂げてきた足跡が和文には数多くあります。そちらはまた別の機会にご紹介します。
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